大企業の税理士の平均年収は900万円台と言われています。日本人の平均年収は450万円前後なので、倍になると考えてよいでしょう。難易度の高い国家資格であり、業務も専門性があるからです。
税理士になる方法
税理士になるためには一定の資格が必要です。まずは、資格の内容を見てみましょう。
受験資格について
税理士は国家資格です。税理士にはなるには、年に1回実施される税理士試験に合格する必要があります。税理士試験にはさまざまな受験資格が定められており、いずれかひとつの要件を満たす必要があります。
学識による受験資格
- 大学、短大又は高等専門学校を卒業した者で、法律学又は経済学に属する科目を1科目以上履修した者
- 大学3年次以上の学生で法律学又は経済学に属する科目を含め62単位以上を取得した者
- 専修学校の専門課程(1修業年限が2年以上かつ2課程の修了に必要な総授業時数が1,700時間以上に限る。)を修了した者等で、これらの専修学校等において法律学又は経済学に属する科目を1科目以上履修した者
- 司法試験に合格した者
- 旧司法試験法の規定による司法試験の第二次試験又は旧司法試験の第二次試験に合格した者
- 公認会計士試験短答式試験合格者(平成18年度以降の合格者に限る。)
- 公認会計士試験短答式試験全科目免除者
資格による受験資格
- 日本商工会議所主催簿記検定試験1級合格者
- 社団法人全国経理教育協会主催簿記能力検定試験上級合格者(昭和58年度以降の合格者に限る。)
- 会計士補
- 会計士補となる資格を有する者
職歴による受験資格(※下記の事務又は業務に通算2年以上従事した者)
- 弁理士・司法書士・行政書士・社会保険労務士・不動産鑑定士等の業務
- 法人又は事業を営む個人の会計に関する事務
- 税理士・弁護士・公認会計士等の業務の補助の事務
- 税務官公署における事務又はその他の官公署における国税若しくは地方税に関する事務
- 行政機関における会計検査等に関する事務
- 銀行等における貸付け等に関する事務
認定による受験資格
- 国税審議会より受験資格に関して個別認定を受けた者
試験科目と合格基準について
以下の試験科目のうち、5科目に合格すると税理士になることができます。
- 必修科目(簿記論及び財務諸表論)
- 選択必修科目(所得税法又は法人税法のいずれか)
※選択必修科目として選ばなかった科目は、下記の③選択科目として選ぶこともできます。 - 選択科目(所得税法、法人税法、相続税法、消費税法又は酒税法、国税徴収法、住民税又は事業税、固定資産税、②選択必修科目で選ばなかった科目のいずれか3科目)
※消費税法と酒税法、事業税と住民税はそれぞれどちらかしか選択できません。
合格基準は各科目60点以上です。
税理士試験は科目合格制を採用しており、一度合格した科目は税理士になるまで有効となります。そのため、数年がかりで一科目ずつ合格を目指す、といった受験方法も可能です。ただし、受験できる科目の数は毎年5科目までとなっています。
合格後のキャリアについては個人開業する税理士が目立ちますが、大企業の経理部門で活躍している人も多数存在します。税理士を自社で雇用しなければならない企業には大企業が多く、大企業の中でも重要な経理部門の有資格者ということもあり、企業内税理士は年収が高額になるケースも多いようです。
税理士の仕事内容
税理士にのみ許されている業務には以下のものがあります。
- 税務代理(納税者の代わりに税金を申告)
- 税務書類作成(税務署に提出する書類の作成)
- 税務相談(確定申告期に税金関連の相談に対応)
企業内の税理士は、主に経理部門で財務・経理の専門家として活躍しています。また、税金に関する知識を活かし、金融・不動産関連の商品開発などを手がけるケースもあります。さらに、近年では財務のスペシャリストとして起業支援やコンサルティング業務を手がける税理士も増加しており、今後も活躍のフィールドはどんどん広がっていきそうです。
(文/古川靖)