2015年5月、東洋経済ONLINEが『上場企業版!「平均年収が高い」500社』を発表。平均年収1000万円超の会社が53社あることで話題になっている。
年収1000万円以上の業界を見ると、マスメディア関係の企業が軒並みランクインしている。今回は、マスメディアで働く厳しさとともに、高年収になるための秘訣に迫った。
メディア関連企業が10社中5社
まずは平均年収が高い会社ランキングベスト10を見てみよう。順位と金額は以下の通りだ。
順位 |
社名 |
平均年収(万円) |
1 |
M&Aキャピタルパートナーズ |
1,947 |
2 |
フジ・メディア・ホールディングス |
1,506 |
3 |
TBSホールディングス |
1,499 |
4 |
朝日放送 |
1,479 |
5 |
日本テレビホールディングス |
1,454 |
6 |
キーエンス |
1,440 |
7 |
日本M&Aセンター |
1,412 |
8 |
テレビ朝日ホールディングス |
1,395 |
9 |
伊藤忠商事 |
1,384 |
10 |
三菱商事 |
1,355 |
10位中5社がテレビ局やラジオ局など、マスメディアの企業だ。主要民法テレビ局4社がランクインしていることからも、影響力が強いマスメディアは給与が高い。
マスメディアで働く人の給与が高い理由
なぜ、大手メディアの給与は高いのか。ビジネス系メディアの「BusinessMedia誠」で、『なぜ朝日新聞の記者は、高い給料をもらう“権利”があるのか?』という対談記事が掲載されていた。まずは対談記事の内容を紹介しよう。
ノンフィクションライターの窪田氏は、朝日新聞に就職したとき、「なぜ、こんなに給与が高いのか」と上司に質問したという。すると、上司は「我々は権力を監視する必要がある。立場上、他の誘惑に乗らないように生活保障を受けなければならない」と答えたそうだ。メディアで働く人間は、権力を相手に中立な立場でなければならない。
メディアは巨大な広告の発信源であることを忘れてはならない。1本あたり数百万円の広告収入がある理由は、未だに数百万人規模のユーザーが視聴している点にある。インターネットと比較しても、まだまだテレビの影響力は強い。マスメディアに所属する人間は、多額のお金が動く現場にいるため給与が高いのだ。
海外ではサラリーマン記者の収入は低い
一方、アメリカではメディアで働く記者に対する評価は低い。『「本当のこと」を伝えない日本の新聞』(マーティン・ファクラー著)によると、最大手であるニューヨーク・タイムズ紙のベテラン記者は、平均年収736万円(2012年)だという。日本の民放キー局の平均年収に対し、およそ半分に過ぎないのだ。
お国柄なのか、アメリカでは新聞社で働くサラリーマン記者と、フリーランスのジャーナリストの評価は変わらない。むしろ、サラリーマン記者とは異なるルールで活動するフリーランスのジャーナリストは、読者に対して利益を与える。
海外のマスメディアは、中立な立場から大企業の不祥事をテーマに取り上げることも多いという。給与は日本に劣っても、権力を監視することはできるのだ。そこには、ジャーナリストが仕事を追い続ける信念と業務スキルが欠かせない。
権力を濫用せず、客観的に考える力が求められる
日本のマスメディアの給与が高い理由は、権力を監視し、自らが濫用しないための生活保障だという。ただし、単に転職すればよいわけではない。一般企業で考えると、権力を濫用しうる瞬間は多々ある。
例えば、人事部は社員の進退を握っている。課長や係長クラスの人材でも評価を下す。給与は高くなるが、それだけに責任は重い。「好き嫌い」や「相手との関係性」などで権力を濫用すると、将来会社を潰してしまう可能性もある。
会社の中でポジションを固めるためには、上司に気に入られるスキルが大切だ。しかし、単なるイエスマンでは結果を出すことができない。相手の立場や自分の主観で物事を判断せず、客観的に考える力が年収アップに直結するのではないだろうか。
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