このタイトルを見て「すごい」と感じた人は、仕事のある日の朝を思い出してください。朝起きてから会社に着くまで、どれだけ「毎日同じこと」を繰り返していますか?
顔を洗うこと、朝ご飯を食べること、最寄りの駅から電車に乗ること、最寄りの駅で電車を降りること、1つとして「なぜ?」を意識して行動していることではなく、「いつもやっているから」と無意識にやっていることだと思います。
この無意識の行動は体にも沁みついています。「朝はコーヒーがなくては」と毎朝コーヒーを飲む人は、体がコーヒー(特にカフェイン)を覚えて、コーヒーを感知して頭に起きろと命令しているのです。
電車にぼーっと乗っていても降りる駅でハッとする、これも体が覚えていて頭に動けと命令しているのです。無意識な行動というのは体が覚えていてただ繰り返すだけの、頭は何も活躍していない、いわゆる「ルーチンワーク」なのです。
「タスク」という名の「ルーチンワーク」
「朝になったら起きる」「コーヒーを飲む」とこのようなタスクはいつの間にかあなたに設定されているルーチンワークです。毎朝「タスク」を同じように繰り返してれば体も覚え、何も考えずに漠然とタスクをこなしていきます。この何も考えないというのが曲者なのです。
ここで気をつけなくてはいけないのは、漠然とこなすタスクは毎回同じ結果を出すだけで、新しいものは何も生まないのです。新しいものに対する対応力はタスクにはありません、なぜならば「新しいこと」は今まで体に覚えていたルーチンワークを壊すものなのです。
具体的な例をあげると例えば引っ越しです。今まで会社に遠いところに住んでいたから近いところに引っ越したとき、環境の変化という「新しいこと」の侵入でルーチンワークが壊れタスクが解らなくなり、着ていくスーツに悩んだり、鍵を閉めたか不安になったり、「あれ?今までこんなミスなかったのに?」ということが続きます。
他にも恋をしたときなどもルーチンワークが壊れます。「恋をするとドジっ娘になる」というのは可愛げが増すのではありません。恋という「新しいこと」の侵入で今まで整然としていたタスクが崩壊し「なぜ?」と思うほどミスが続くのです。
化粧品に悩んで遅刻しそうになるのも、可愛く見せたいという思い(新しいこと)が化粧をするタスクを崩壊させるのでミスの連発で時間がかかるのです。
タスクの崩壊は、有意義な時間のはじまり
タスクの崩壊は前述した例だとあまり良いことのように思えないでしょうが、その逆で意義のある時間を生み出すキッカケになるのです。考えることなく、無意識にタスクでこなしていくことは実は無駄を生み出しているのです。
一番よくあることが会社についてメールをチェックすることです。メールを読んで、必要ならば返事して、これらを繰り返して気づいたら1、2時間経っていたという経験はありませんか?ここで注意する点はメール確認の優先度は一番なのか考えた上での行動なのかという点です。
多くのビジネスパーソンが職場で席に着いたらメールチェックと、まるでプログラムされた機械のように行動します。必要だからと判断はしていません。電話が入ったり、誰かに話しかけられたり、何か「新しいこと」が割り込まない限りタスク終了までずっと時間を使い続けるのです。
メールチェック中に「ちょっと良いかな?」と話しかけられたらどうしますか?7、8割の確率で「良い」と答えてメールチェックは中断します。中断できるほどメールチェックは大したことではない、つまり優先度が低いタスクだったのです。
話をするという「新しいこと」によってタスクが崩壊すると、またパソコンの前に戻ったとき「あれ?」と感じるのです。「何をしようか」、こう考えた時点でただ無意識にやっていた仕事(ルーチンワーク)はなくなり、やらなければいけないことを考え始めます。
ここでようやく有意義な仕事の時間が始まるのです。
ルーチンワーク以外の仕事時間は実はわずか2時間!
ルーチンワークは体に沁み込んだ無意識な仕事なので、やりやすく、終わりまで集中してできてしまうのでタスク終了時には「達成感」が生まれます。メールチェックの例で言うと、未読が0件になり全て既読になると「やった!」と思ってしまうのです。
必要なのは自分で考えて行った、つまりルーチンワーク外の仕事です。ある調査によると、1日8時間の仕事のうち「今日やらなくては」と自分で考えてやる仕事は2時間程度とのことです。つまり6時間はルーチンワークを行い、何かキッカケ(新しいこと)がないとそのルーチンワークから抜け出せないのです。
成功者は2時間しか働いていない?
ビジネスで成功した人のほとんどは、自分にとって必要なタスク、自分が今やらなければならないタスク、今必要ではないタスク、このようにタスクをきちんと分別し無駄なく仕事をしています。
つまり成功者の2時間分の仕事は、ルーチンワークにとらわれて仕事をする人の8時間分に相当するのです。
今のように「仕事は8時間」と決められているので成功者とそれ以外の人を見分けにくいのですが、仕事の仕方が変わり「一定の成果を出したら今日の仕事は終わり」という形になったら成功者は目立つようになります。
2時間で帰っていく成功者を「羨ましい」と思うようになったら、その思いが「新しいこと」となり漠然と続けていたルーチンワークを見直し、タスクを崩壊させることになります。そして有意義な、生産性の高い仕事の仕方に変わるのです。
(文/高橋亮)