昔から「安かろう悪かろう」なんて言われるように、相場よりも安いサービスというものは、得てしてどこかに重大な落とし穴が隠れているものだ。
個人的には家電なんてのは、やっぱり安いものはどんなに魅力的に思えても、実際に使ってみるとガッカリしたという経験も少なくない。
なんだかんだ言っても、高いものというのは、やっぱり相応に満足の行く性能を持っているものである。
ところで、なんでこんな話をしているのかと言えば、ちょうど最近、「安かろう悪かろう」を痛感するような出来事を知ったからである。
悲しみ!欲に駆られて受けたサービスが仇!
これは10月下旬の話だ。
高校時代の友人、佐々木(仮名)が、僕の住んでいる家の近くまで遊びに来たので、一緒に食事をした。
久しぶりに会ってみたら、すっかり頭が寂しくなっていて驚いた。時間の流れってのは無常なものだ。
聞けばその夜は近所のビジネスホテルで一泊するということだったが、こっちはこっちで仕事が溜まっていたため、結局一杯引っ掛けてからお別れすることにした。
果たしてそれから3日か4日が経った頃。
佐々木から一本の電話が入った。
「なんだか、アソコが痛いんだ」
一体どういうことなのか。
詳しく聞いてみると、こう言う。
「実はあの夜、お前と別れた後に、繁華街で中国人マッサージ店を見つけて入ってみたんだよ。
最近腰やら肩やらが痛くて。
で、マッサージをしてくれたのが中国人の姉ちゃんだったんだけど、結構いい女でさ。
マッサージ自体の料金は3,000円で安かったし、財布に余裕もあったしで、エッチの交渉をしたんだよね」
こいつ馬鹿である。
しかし相手もなかなかの馬鹿だったようで、結局追加料金4,000円払えば、本番もOKだったという。
もっともそういうお店なのか、このお姉ちゃんの独断かどうかは定かではないが。
とりあえず僕は病院にかかるように忠告をして、その日は電話を切った。
出たぞ診察結果!かかってたぞ性病!
それからさらに1週間ほど経ったある日。
ふと、佐々木の状況が気になったため、今度は僕から連絡してみた。
「いやぁ、ビンゴだったわ」
やっぱりそうだった。
佐々木は生本番をしてしまったため、性病をうつされてしまっていた。
病院では、性器クラミジア感染症、淋菌感染症、性器カンジダ症と診断されたという。
とにかく痒み、痛みが気になる複合症例のようで、特に排尿の際に我慢しがたい痛みを感じるのが耐えられないという話だった。
「もうコリゴリだ、これからはちゃんとコンドームをするよ」
と反省しきりの佐々木。よっぽど堪えたようである。
その後は治療の甲斐もあり、比較的早期に治癒したようだけど、今回のことがトラウマになったのか、未だに佐々木はそっち関係のサービスを利用していないという。
安物買いの銭失いには要注意!
今回の佐々木の一件で、僕は改めて、安い買い物のリスクというものに唸らされた。
やっぱり安いには安いだけの理由があって、その理由って本当に補填の利かないものだったりする。
佐々木の場合、4,000円で生本番が出来た瞬間は役得だと思っていたことだろうが、その後の苦痛や、詳しくは言わなかったけど、治療で掛かった費用などを思うと、全く割合がとれていないはず。
結局、そこそこのクオリティのサービスを享受したいなら、それなりのお金を出すことが大事なのだ。
高くて品質の悪いサービスもないわけじゃないけど、安いのにコスパの良い買い物なんて、そうそうお目にかかれない。
お金で安心を買うという発想は、とにかく大事なものなのだ。
(文/松本ミゾレ)