脱サラして憧れの田舎暮らし!農家として独立!……という未来図を描いている人もいるかもしれませんが、低収入農家も少なくないという厳しい現実があります。
一方、酪農ならば年収3,000万円も夢ではないというのは本当なのでしょうか?稼げる酪農家になるためのノウハウを調べてみました。
酪農で目指せ年収3,000万円!
平成26年の農家の平均年収は456万円、前年度と比較すると平均年収は3.5%のマイナスを記録しています。これはサラリーマンの平均年収約500万円を下回る水準であり、これではせっかく脱サラして農家を始めたとしてもガッカリですよね。
ところが、酪農家ともなると年収3,000万円以上を稼ぐ人もめずらしくないとか。これは見逃せません!
酪農で年収3,000万円をゲットする方法
酪農家とは、牛、ヤギなどを飼育して、乳や乳製品を算出する畜産業に従事している人のことです。その歴史は古く、人類が狩猟生活から農耕生活に入ったのとほぼ同時に誕生したと言われています。
酪農家になるにはまず、酪農ヘルパー、牧場従業員などに付いて、知識と技術を習得することからスタートしましょう。牛の購入、設備投資などに最低でも500万円以上が必要なので、資金をしっかりと貯めるのも大事です。
市町村の中には無利子の貸し付けを行っているところもあるので、そういったものを利用してみるのもおすすめです。
経営が軌道に乗れば年収3,000万円も夢ではありませんが、もちろんすべての酪農家にそのような高額の収入が保証されているわけではありません。現在の経営状態を正確に把握し、目標を立て、目標に向かって努力を惜しまない姿勢が問われるのです。
目標に向かって無我夢中で頑張ることも大事ですが、なかなか目標が達成できない場合には、果たして正しい目標設定だったのかどうか冷静に振り返る時間も欲しいところです。
儲かる酪農家になるために必要なこと
酪農で年収3,000万円を獲得するには、まず、初期投資を抑えるなどコストダウンに対する意識が高くなくてはいけません。最近では地方自治体による支援も増えてきているので、そういったものを利用してみても良いでしょう。
たとえば北海道の北宗谷農協では年間100万円の奨励金を5年間にわたり支給し、家畜購入のための借入金の補助などを行っています。
酪農家として成功するにはまず、家畜に対する観察眼が必要です。たとえば牛は肉食動物に捕食される動物のため、警戒本能が非常に強くなっています。ちょっとした牛舎の様子、臭いなどが変化しただけで緊張してしまいエサの消費量や牛乳の生産量に影響が生じてしまうのです。
すべてにおいて牛を第一優先に、牛ができるだけ心地よく過ごすことができる空間作りを心がけましょう。牛は意外にキレイ好きなので、牛舎の掃除はこまめに取り組めば牛の精神状態も落ち着いて、タップリと乳を出すようにするかもしれません。
牛は飼育者のストレスが伝わりやすい繊細な生き物です。なるべくピリピリとせず「毎日、牛舎に行くのが楽しい!」という気持ちで仕事をするようにしましょう。酪農家の気分は飼われている動物を見ればわかるともいわれます。元気な目をしてエサを十分に食べ、乳牛ならば十分な乳量を確認できるような状態ならば問題ありません。
最近ではコンピュータで家畜の管理をしている酪農家も増えています。もちろん、IT化で効率の良い酪農経営をすることも大事です。しかし、家畜の世話よりもコンピュータの操作に時間をかけるようになっては本末転倒と言えるでしょう。
良い反芻(一度飲みこんだ食物を再び口中にもどし、よくかんでからまた飲みこむこと)をしているか、病気になりかけていないかなど一頭、一頭をきめこまやかに観察しなければいけません。
機械化によるコストカット
一頭ずつの健康状態を目視するのももちろん大切ですが、同時に機械化によるコストカットにも取り組むことをおすすめします。
すべてを人力でまかなおうというのは、酪農経営という観点からすると必ずしも合理的ではありません。人間の手をかけなければいけない部分と、機械化できる部分を正しく区別するようにしましょう。
たとえば、エサやりなどはぜひ機械化したい作業です。これまで、酪農家の仕事の大半はエサやり作業といっても過言ではありませんでした。理想を言えば、牛が欲しい時にいつでも新しいエサが供給されるようにしておきたいところですが、人間の手作業ではどうしても限界がありました。
しかし、自動給餌器を導入すれば、1日のエサやり回数を容易に増やすことがでます。たとえば牛は草食動物のため、一日中咀嚼していることもめずらしくありません。外敵に襲われる心配は0%で、いつでも機械が給餌してくれるとなったら、牛としては安心しきってエサを食べることができるでしょう。
そうなれば当然、良質の乳を大量に算出するようになります。乳のクオリティを一定に保つことができれば、ブランドミルクとしてやや高額で販売することも可能です。年収3,000万円越えを目指すならば、そのような戦略を積極的に立てていきたいところです。
もし、資金があれば自動給餌器と搾乳ロボットを取り入れるのも一つの方法です。機械化によって個体あたりの乳量が増加した例も多数報告されています。
また、年収3,000万円以上を目指すならば、ある程度の大規模ファームを経営することになると思いますが、たくさんのスタッフを雇うと人件費がかさんでしまいます。機械は初期費用こそかかりますが、継続して高い人件費を払い続けるよりはコストカットできることは確実と言えるでしょう。
酪農を真剣にやってみたい人は、ぜひ機械化することを検討してみてはいかがでしょうか。
いつ休める仕事なのか
以上のように酪農は高収入も見込める大変やりがいのある仕事です。しかし、一方で生き物相手の仕事のため、基本的に早朝から深夜まで一年中仕事であるということは覚悟しておきましょう。家族総出の仕事になることもあり、大変ではないといえば嘘になります。
しかし、それでも、たとえば牛の出産に家族で立ち会うような機会もあり、子どもたちにとってはまたとない命の教育になるでしょう。
また、酪農をスタートして数年は家畜や機械を購入したローンの支払いにかなりの収入が消えてしまうことも覚悟しなければいけません。しかし、現在年収3,000万円超えの酪農家として経営を安定させている人でも、最初は誰でも通った道なのです。
いきなり大儲けというようなうまい話は酪農にはおそらくないでしょう。しかし、コツコツと地道に努力を重ねていればいつか花咲くこともあるということは覚えておいてください。
まとめ
いかがでしたでしょうか。農家と酪農家はひとくくりのようにして語られることもありますが、かなり違いもあることはご理解いただけたでしょうか。
酪農家の最大の特徴は生きている動物を扱うという点です。そのため、休みはあってないようなものなので、動物の世話が何よりも好きというような人に向いている職業いと言えるでしょう。
もちろん、好きだけではやっていけません。家畜の状態を正しく把握して的確な世話をする能力も問われています。この頃ではコンピュータで制御された機械を利用して家畜の世話をしている酪農家も増加中です。もちろん、そういった機械も大いに取り入れたいところですが、一日中PCと向き合うような生活はおすすめできません。
あくまでも、もっとも目をかけなければいけないのは家畜であるという点だけは忘れないようにしましょう。