来年から私たちの残業代が本当に0円になる!?気になる残業代ゼロ法案とは

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2016年から残業代が本当に0円になる?残業代ゼロ法案とは

投稿日:2015年11月30日 更新日:


2015年8月26日、政府は安全保障関連法案の成立を優先させるために、残業代ゼロ制度の導入を柱とする労働基準法改正案と民法改正案を今国会での成立を見送ることが発表されました。

とはいえ早ければ来年4月から実施予定とも言われるこの法案によるメリット・デメリットとは?そして対象者は?

残業代ゼロ法案って何?

この残業代ゼロ法案、正式名称は「日本型新裁量労働制」といいます。安倍政権下でホワイトカラーエグゼンプションという制度の導入が検討されていたことを覚えている人も多いかと思いますが、ホワイトカラーとはデスクワークなどの仕事を中心とする労働者のこと、そしてエグゼンプションというのは免除という意味です。

この制度の要(かなめ)は「成果に応じた報酬を」という点にあります。この制度は、同じ仕事をしていても能率が良く定時で帰れる人と、能率が悪く残業になってしまう人とでは、仕事量が同じでも後者のほうが残業代分を得してしまうといった不公平が生じてしまうのを、緩和・是正するために提案されているものなのです。

自分は対象者に含まれる?

現時点で予定されている対象者の条件は:

  • 年収1075万円以上
  • 管理職
  • 本人の承諾
  • 年間104日以上の休暇(土日だけで104日なので週休2日のペース)

と、されており、全労働者のうち男性では約6.2パーセント、女性では約0.9パーセントにあたります。これだけ聞くと自分にはあてはまらないし、関係ないと思うかもしれませんが、いったん法が成立してしまえば段階的に年収などの条件が緩和され一般職などより幅広く多くの人に適用される可能性も出てきます

残業代ゼロ法案のメリット・デメリット

<メリット>

  • 早く退社するために仕事を早くこなそうと生産性がアップ
  • スキルアップなどを理由に長時間働きたい人には残業許可が容易になる

<デメリット>

  • 仕事量は変わらないので結果的に給料が下がる
  • サービス残業が助長される
  • 実労働時間と違い明確な基準を示しづらく仕事に対する評価が難しい
  • 過労死認定が難しくなる

過労死しても労災認定されない?!

過労死しても労災認定されない?!人によって精神や肉体の強さには大きな差があり、過重労働の許容度もまちまちです。だから、「この人は丈夫だから残業100時間可能」とか、「この人はストレスに弱いから残業なし」などと数字に表すことは、今現在はできません(100年後くらいには可能になるかも知れませんが)。

そこで客観的に定義できる指標は労働時間数のみということになるため、現行法では過労死認定の基準として1ヶ月の残業時間が80時間以上としています。これ以上働くと過労による心身疾患と労働時間の関連性が高まる、とみられているからです。

残業代ゼロ法案は残業を減らすことが目的だといわれていますが、そううまくいくのでしょうか?残業代ゼロ=残業なし=過労死認定されない、などという事態も危惧されています。

次に挙げるのは厚生労働省・労働基準法等の一部を改正する法律案要網を要約したものです。残業代を支払わない場合には企業側は次のいずれかを導入しなければなりません。

  1. 深夜労働の回数制限と、終業から始業まで一定の時間を設ける(インターバル規制)
  2. 労働時間を一定時間に制限
  3. 年間104日以上の休日を確保

1や2だけでは休日はなくてもよいことになり、3だけでは休日以外は1日24時間働いてもよいと解釈できるため、これら3つすべてが合法化される必要があります。

欧米におけるホワイトカラーエグゼンプション

欧米におけるホワイトカラーエグゼンプションアメリカやドイツなどではすでに導入されている制度ですが、雇用契約を結ぶ際に交付される「職務陳述書」により自身の仕事内容が明確化されているため、効率よく職務をこなし定時に帰るのも、やむを得ず休日出勤するのも本人の力量次第と認識されているそうです。非常に合理的といえますが何かにつけ「全体の輪」を重視する日本の社会で、そして日本の企業でこのやり方が受け入れられるのかは疑問が残ります。

ちなみに英政府の運営するウェブサイトによると、イギリスでは残業時間の上限は軍隊や警察など24時間体制の職務など特別な場合を除き、通常週8時間までと規定されています。

18歳以下の場合は週40時間以上の就労は認められていません。残業代については金額の規定はありませんが、最低賃金を下回るのは違法となります。日本では残業を強要するブラック企業が問題になっているようですが、イギリスではあまり聞いたことがありません。

私自身の経験でいえば、英国空軍に所属していたときに1日12時間3週間連続で警備の任務についたことがあります。軍隊は1日24時間、年間365日に対して賃金が支払われる仕組みなので、通常の労働基準法は適用されません。しかし、私はもちろん承知してやっていたことなので不満はありませんでした。まあ、有給が年間30日あったので文句も言えませんが。

(文/森野万弥)

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