年収を上げたい

箕面から西成まで……大阪の年収事情に潜むリアル

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平成27年度の大阪府の平均年収は528万円でした。大都市圏なだけあって、全国でも上位の給与を誇ります。

しかし、ふたを開けてみるといびつな構造があるようです。そこで今回は、大阪府の高給取りから貧困層、公務員の給与問題まで、幅広く扱ってみたいと思います。

大阪府にある企業の年収ランキングベスト5

大阪府にある企業の年収事情を見てみましょう。ベスト5は以下の企業が名を連ねていました。いずれも高年収で有名な企業ばかりです。

1位 キーエンス(1,648万円)

全国的にも有名なFA機器の有名メーカーです。自社で生産工場を持たず、高い商品開発力で高収益を達成し続けています。

生涯年収は5億円以上と言われており、「合コンしたい企業ランキング」でも上位に名を連ねる人気企業です。ただし、ハードワークでも有名な企業であることは理解しておきましょう。

2位 朝日放送(1,518万円)

西日本最大手の民放放送局です。ABCテレビとABCラジオを運営していますが、多くのバラエティ番組を生み出し続ける人気テレビ局です。

生涯年収ランキングは4億9,000万円日本3位となっています。ちなみに、収益構造の9割は放送ですが、残り1割はハウジング事業による収益です。

3位 伊藤忠商事(1,395万円)

伊藤忠商事は大阪が世界に誇る総合商社のひとつです。東京都・青山に本社がありますが、実質的な本社は大阪にあることから、関西系の企業としてランクインしました。

生涯年収は4億5,000万円日本8位と言われています。

4位 日本商業開発(1,000万円)

底地を投資対象とした不動産商品開発を行う企業です。従業員数は少ないですが初任給も高く、平成27年の営業部門は平均年収2,376万円を達成しました。

不動産業界にありがちですが、実力主義の強い企業です。

5位 ダイビル(959万円)

大阪および東京で、賃貸オフィスや貸会議室の管理・運営を行う商船三井グループの企業です。

上場企業のうち、不動産業界では9位にランクインされる高年収企業で、生涯年収も3億6,000万円とされています。

日本で一番年収1,500万円層が多い大阪府・箕面市

平均年収1000万円越えの企業が多い大阪府。では、大阪府のなかではどこが高級住宅街なのでしょうか。

大阪の高級住宅街というと、大阪府・箕面市というイメージが強いかと思います。箕面市は年収1,500万円以上の世帯が3.6%と、全国の自治体の中で最も高年収の人が多く住んでいる確率が高い自治体です。

多数の豪邸が箕面市にあり、上場企業の社長や大物芸能人も多く住んでいると言います。郊外にあることも手伝って、治安がよいという点も見逃せません。

世間的にはホワイトカラーが暮らす街というイメージが強いようです。アクセス良好な土地で、年収500万円以上の世帯も多く、上場企業から中堅企業で活躍するサラリーマンが暮らすにはピッタリの場所だと言えます。

西成・あいりん地区の貧困問題

ここまでは大阪府の華やかなイメージを取り上げました。しかし、華やかな姿ばかりではありません。

大阪府には日本最大級のドヤ街と呼ばれる大阪市西成区・あいりん地区があり、貧困問題に悩まされている人が多いという現実もあることをご存じでしょうか。

大阪市西成区は、年収300万円未満のワーキングプアが74%もいます。おそらく、その多くがあいりん地区に住んでいる人ではないかと考えられます。

あいりん地区とは、JR西日本新今宮駅の南側にあり、古くからの地名をもとに釜ヶ崎と呼ばれることもある場所です。

おおむね荻之茶屋や太子のエリアを指しますが、路上生活者の多さや異常な人口密度の高さによる治安の悪さなど、さまざまな問題が指摘されています。

あいりん地区には多数の日雇い労働者がいます。彼らは日本の高度経済成長期に大阪へ出稼ぎに来て、そのまま帰れなくなってしまった人たちです。

こういった事情からあいりん地区に住み着いた人が多いことから、日雇い労働者の多くは高齢化していますが、若年者の貧困層も一定数いるようです。

あいりん地区に対する政府の動き

バブル景気の頃と比べると日雇い労働の仕事数も3分の1にまで減少していることもあって、日雇い労働者の多くは生活保護を受けるべき対象ではないかと考えられています。

なお、あいりん地区出身者の内訳を見ると、九州や沖縄、中国・四国から出てきた人が約半数を占めています。西日本の貧しい日雇い労働者が多く集まっているようです。

年収300万円未満の貧困層が多いのですが、NPO法人や宗教団体が中心となって頻繁に炊き出しを行っています。

三角公園や四角公園と呼ばれる場所で炊き出しが行われるのですが、多くの人が列を作るような状況です。

あいりん地区が抱えるもうひとつの闇

低年収層が多いとされるあいりん地区ですが、一方で毎日10万円以上の収入を稼いでいる人もいます。その理由は、西日本最大級の料亭街である飛田新地があるからです。

飛田新地でどのようなことが行われているかという点はあえて言及を避けますが、多くの女性が高収入を稼いでいます。

町を訪れると華やかなムードがあり、多くの男性たちが足を運んでいます。橋下前府知事が顧問弁護士を務めていた時期もあり、いくつかの問題が示唆されていました。

年収という意味ではたくさん稼いでいる女性が多いのですが、働き方については賛否両論あるのではないかと思います。

日雇い労働の貧困層が多い一方で高収入の女性が多いことは、あいりん地区ならではのいびつさではないでしょうか。

公務員の給与据え置き問題

年収1,500万円以上の高所得者や年収300万円未満の低所得者が多い大阪府は、いびつな社会構造ができあがっています。じつは、公務員の給与に関する問題も浮上しているのが大阪府の特徴です。

2016年1月、現在の大阪府知事である松井一郎氏は、年間100億円の財源確保をするために、大阪府の財政の厳しさを理由に給与据え置きを決定しました。これに対して、職員組合が猛反発をしていることがテレビカメラに映し出されてしまったのです。

給与据え置きに対して大阪府の職員がデモを行いましたが、彼らの給与は平均38万6,700円というデータが出ています。また、大阪府職員の平均年収は659万円と、府の平均年収全体よりも多いです。

大阪府にはさまざまな問題がある上に、本人たちは十分な年収をもらっているのに、なぜ給与据え置きに対して抵抗があるのでしょうか。

大阪府はいわば赤字企業。しかし、「赤字にも関わらず給与アップを行うのはいかがなものか」という考え方を持つネットユーザーの声も少なくありません。

ただし、大阪府職員が抱えている問題のうち、公務員の残業代が支払われないという問題があることも事実です。

赤字企業ならではのサービス残業というのは一般的かと思いますが、このような問題が発生しているため、公務員の給与据え置きを「平均年収よりも高いのに」と、断定的に攻めるのは少し間違いかもしれません。

大阪府職員も一労働者のような存在であると考えると、残業代が支払われずに給与据え置きを訴えること自体は自然のような気もします。

どこまで続く?大阪府のいびつの年収構造

平均年収500万円台という言葉では、大阪府に暮らす人たちの年収事情をまとめることはできません。詳しく調べてみると一人ひとりでまったく事情が異なっているからです。

あいりん地区の貧困問題や公務員の給与など、さまざまな課題が山積みになっている大阪府。今後も、いびつな年収構造はまだまだ続くのではないかと考えられます。

(文/三堂有人)

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