慢性的な保育士不足は年収のせいではない

年収を上げたい        2016年07月01日

(この記事を読むのに必要な時間は約 5 分です。)


  • 待機児童問題が深刻になる中で浮き彫りになってきたのが保育士の年収についてです。認可保育所に入ることができない待機児童は2015年の調査では23,167人となっており、7年連続で20,000人を超えています。

    待機児童をゼロにするには新しく保育所をつくることが求められているのですが、ここで問題になっているのが慢性的な保育士不足なのです。保育士の有効求人倍率は全国平均で2.18倍となっており、完全な売り手市場となっています。

    待機児童をゼロにするためには政府も頭を悩ませており、政府が打ち出した保育士確保のプランでは17年までに新たに60,000人から70,000人の保育士の確保を必要としているのですが、保育士の資格があっても保育士の仕事に就かない人が多く存在している状態です。

    ではなぜ保育士の仕事に就かないのでしょうか?保育所をつくってもそこで働く保育士を確保することができないという背景には保育士の待遇の低さが大きな理由となっています。

    保育士の平均年収は315万円

    保育士の平均年収は315万円です。ですが平均はあくまでも平均であり、現役の保育士の中には24歳保育士2年目で月の手取りは11万円、28歳保育士6年目で手取りは14万円です。

    フルタイムで働いているにも関わらず、この給料の安さは異常とも言えるのではないでしょうか。

    給料の安さが保育士不足を招いていると考え政府は保育士1人あたり月6,000円上げることを想定して助成金を支給する方針でした。

    ところが、実際に現場で働いている保育士にどのくらい給料が上がれば保育士を続けるかと質問をしたところ、希望する増加額の平均は68,632円となっており、政府が提示している額とは大きな差があることがわかります。

    保育士の仕事はハードすぎる!

    保育士は一日中子供と遊んでいるだけ、子供が帰れば仕事は終わりと誤解をされている職業です。そんな中で保育園の求人などを見ると保育士さんの給料がとても安いことに驚くことがあります。

    ですが保育士が一日の中でこなさなければならない仕事量は膨大な量であり、そんな仕事を子供と関わりながらこなしていくのはとてもハードと言えます。

    保育士の仕事内容

    1. 子供に基本的な生活習慣を身につけさせる
    2. 子供の身の回りの世話をする
    3. 集団生活に通じて社会性を養わせる
    4. 遊びを通じて心身の発達を促す
    5. 保護者へのアドバイスやサポートをする
    6. 地域との連携

    簡単に挙げるだけでもこれだけの仕事内容があります。そしてさらにこれらの仕事を子供を相手にしながら行っていくのです。

    保育士の一日の仕事内容

    • 出勤・・・園児が登園するまえ前に出勤をして掃除や換気、設備のチェックなどを行います。
    • 朝の登園・・・登園してくる子供たちを迎え、保護者とのコミュニケーションや子供の様子を観察します。
    • 朝礼・・スタッフ間で朝礼を行い出欠席の状況や子供たちの健康状態などの情報を共有します。
    • 自由遊び・・・子供たちが安全に遊ぶことができるように見守り、季節によっては近隣の公園に出かけたり、水遊びなどを行います。
    • 昼食・・・昼食の準備を行い、手洗いやうがいなどを子供たちに促したり、配膳や食育など衛生面に配慮しながら進めていきます。
    • お昼寝・・・昼食後に歯磨きをして寝巻きに着替え、布団を敷いて本の読み聞かせなどをしながら昼寝をさせます。子供たちが昼寝をしている間は連絡帳の書き込みや片付け、交代で休憩などをとります。
    • おやつ・・昼食後は子供たちのおやつの時間です。
    • 自由遊び、帰りの時間・・・室内や園庭で遊びながらお迎えを待ちます。保護者にはできるだけその日一日にあったことを口頭で伝えます。延長保育がある場合はさらに長くなります。
    • 子供たちが帰ったあと・・・戸締りや火の元のチェック、かたづけなどを行って勤務終了となります。イベントなどを控えている場合には準備などを行います。

    基本的に保育士は子供と接することから体力勝負です。子供を抱きかかえたり、おむつ交換やトイレの補助、着替えなど自分の休憩時間も満足に取れないこともよくあります。

    昔に比べて保育士の負担が増えている!

    保育士の一日の仕事内容を見てもただ一日子供と遊んでいるだけなんて思えないのですが、近年ではさらに仕事の負担が増えています。

    一番の問題は子供のアレルギーです。対応を誤ることで生命に関わることになり、中には発達の遅れによってさらに特別な配慮が必要な子供も増えています。また保護者からのクレームも理不尽なものが増えており、その対応にも追われることになるのです。

    こんな話と聞いても保育士は子供と遊んでいるだけで特別な知識はいらないと思えるでしょうか?

    保育士の処遇を上げることで子供たちが健全な環境で過ごすことができ、発達にもプラスになると考えることができれば、保育士の確保のために国民が税金を投じることを納得するのは現代の日本にとって当たり前のことなのかもしれませんね。

    保育士の給料が安い理由を徹底解明!

    保育士の仕事=ハードというのは子供を持ったことがない人でも安易に想像することができるのではないでしょうか?ですが保育士は子供の命を預かる大きな責任のある職業です。

    ではなぜこんなにもハードな仕事である保育士の給料が安いのか?どのような仕組みで保育士さんの給料が決まるのか考えてみましょう。

    認可保育園の運営費はどこから出ている?

    保育士さんへ毎月の給料を支払っているのは保育園です。ですから、まずは保育園の運営費に関するお金の流れを見てみましょう。

    保育園を運営するためのお金は大きくわけて3つの項目から賄われています。

    • 保護者からの保育料
    • 国からの負担金・補助金
    • 都道府県からの負担金・補助金

    です。これらを保育園がある市町村が受け取って、市町村から各保育園に届くという流れになっています。

    この時に市町村からの補助金が上乗せされることもあります。実はこの運営費から保育士の年収を割り出すと平均年収315万円というのは妥当な数字となり、保育士の給料が低い理由は運営費が安いことが大きな理由となっているのです。

    (文/中村葵)


    タグ:
    中村葵
    中村葵
    主婦をしながらライター業に勤しむ福岡県在住の主婦。小学1年生の息子との時間を最優先にするために在宅で仕事を続けている。人生山あり谷ありをリアルに体験したことが幸いしてなのか様々なジャンルで記事が書けるようになる。得意なことは毎週日曜日に一週間分の献立を立てて買い出しに行き材料を一週間で使い切ること。趣味は愛兎を撫でること。

    【PR】無料保険相談で商品券全員プレゼント

    TOPへ

    ページトップへ戻る