ビジネスパーソンと切っても切り離せない関係にある「ストレス」。仕事のプレッシャー、人間関係、睡眠不足など、さまざまな要素によって心は不満を溜め込み、あらゆる場面に悪影響を及ぼしてしまいます。
しかも「ストレスがある人は年収が低い」という調査結果もあり、なにひとつ良いことがありません……。
ストレスを緩和する方法は世の中にいくつもありますが、そのなかで私が注目しているのは「環境音楽」です。なんと聴くだけで心が安らいで不安が和らぐとか。いったいそこにはどのようなヒミツが隠されているのでしょうか。
年収1000万円を超えるとストレスが減る 生産性に深い関係?
株式会社ビジネス・ブレークスルーが2000人以上のビジネスパーソンを対象に実施した「ビジネスパーソンのストレス意識調査」によると、年収300万円から年収が上昇するにつれてストレス比率が高まる傾向にあることが分かりました。ただ同時に、年収1000万円を超えた途端、ストレス比率が約10%下がることも示されていたのです。
一説によると、ストレスを感じている方は、不満を抱えているがゆえに自信がなくなり本来の能力が失われてしまうと言います。イギリスの大手通信社「ロイター」の調査でも、世界中の管理職の3分の2がストレスに悩まされ、心身の不調に苦しんでいることが分かっているようです。
つまり、ストレスが仕事の生産性を低下させている、という見方ができます。「ストレスが少なく生産性が高い=年収1000万円以上」「ストレスが多く生産性が低い=年収1000万円以下」という構図は、まさにこの結果なのかもしれません。
環境音楽はストレスを和らげる効果がある
環境音楽とは、アンビエントとも呼ばれる、耳に優しく心地のいい音楽のことです。イギリスのロックバンド「Roxy Music」のオリジナルメンバーで、同国の人気ロックバンド「U2」や「COLDPLAY」のプロデューサーとしても活躍する「ブライアン・イーノ(Brian Eno)」が提唱し、世界中に広まりました。
彼は1978年、ニューヨークのラガーディア空港の館内BGMとして『AMBIENT1:MUSIC FOR AIRPORT』を制作しています。リズムがない空間的な広がりを持つ音たちは、フライト前の緊張やストレスを和らげる効果があると言います。
実際にラガーディア空港をはじめとした、さまざまな空港で流されたそうです。聴いてみるとその効果を実感すると思いますので、ぜひ聴いてみてください。
以来、世界に名を知らしめた環境音楽は、世界各国でストレスを軽減するために広く使われてきました。医療業界も患者へのリラックス効果が見込める、と注目しており、音楽療法に用いられることもあるようです。
2013年には、イギリスのモンテフィオーレ病院とブライアン・イーノが、環境音楽と映像によって心の治癒効果を生む『77 Million Paintings for Montefiore』『Quiet Room for Montefiore』という2つの部屋を制作し、院内に設置しています。
環境音楽でリラックス効果!仕事中に聴けば生産性がアップするかも?
実は、音楽と生産性との関係性については、もう何年も科学的研究が進められており、環境音などをイヤホンで聴くと生産性が向上するという結果が出ています。大きなストレスを抱え込みながら仕事をしている方は、職場で環境音楽を聴けばイライラや不安が和らぎ、生産性がアップするかもしれません。
私は些細な音で集中力が途切れがちなために、職場ではヘッドホンを付けて業務中ずっと音楽を聴いています(かなり大きな音)。ジャンル問わずさまざまに流していますが、なかでも環境音楽は心がリラックスして、かなり集中できるのでお気に入りです。ほかにも雨の音、川の音、風の音など、「まさに環境」といったBGMもあるので、自分に合ったものを探してみてください。
それから職場で音楽を聴ける環境にない方もいるはずです。そんな皆さんは、家に帰ってからでも環境音楽によるリラックス効果は得られるようなので、テレビなどは消して、心地よい音だけが流れるくつろぎ空間をつくってみてはいかがでしょうか。きっと、その日に溜まったストレスから解放されて、心も身体も軽くなります。
(文/吉松京介・エストリンクス)