知らないと本当に損する?気になる確定拠出年金について

節約・貯めたい        2016年10月06日

(この記事を読むのに必要な時間は約 12 分です。)


  • 筆者は先日、女性向けの雑誌を立ち読みしました。特集ページにあったのが「確定拠出年金にチャレンジしてみよう」という趣旨の記事です。「オトクだから始めよう」という点が強調されていました。

    でも、実際どうオトクなのか、わからなくありませんか?制度の成り立ちからオトクな理由まで、徹底解剖します!

    確定拠出年金とは?

    そもそも、確定拠出年金って何でしょうか?基本的な知識から解説します。

    まずは日本の年金制度を押さえよう

    最初に、日本の年金制度について押さえましょう。よく、日本の年金制度は「3階建て」と言われています。3つの制度から年金が構成されているためです。図にして表すと、次のようになります。

     

    企業年金

    退職給付

     

    3階

    国民年金基金

    (付加年金)

    厚生年金

    (老齢厚生年金)

    2階

    国民年金(老齢基礎年金)

    1階

    自営業者等

    会社員

    公務員

    第2号の配偶者

     

    第1号被保険者

    第2号被保険者

    第3号被保険者

     

    1階部分の国民年金(老齢基礎年金)は、すべての年金加入者が加入しています。65歳になったと同時に、老齢基礎年金として給付が受けられるのが特徴です。

    次に、2階部分ですが、どんな仕事をしているかで扱いが分かれます。自営業者・フリーランスの場合は国民年金基金を使います。加入は任意となっているため、必要に応じて検討しましょう。一方、会社員・公務員の場合は厚生年金を使います。こちらの加入は強制です。

    最後に3階部分ですが、会社員であれば企業年金、公務員であれば退職給付となります。基本的には任意加入ですが、ほとんどの人が加入しているのが実態です。

    確定拠出年金は3階部分を補完するためのもの

    ここで、今回のテーマである確定拠出年金について説明します。確定拠出年金は3階部分に含まれる制度です。

    従来、日本の会社では、会社が年金基金という形でとりまとめて資産を運用し、運用したお金で従業員への退職金を支払っていました。

    バブル経済が破たんする前は、年金基金の運用成績が良かったので、しっかり退職金を払えていたのですが、長引く不況にともない、思うような運用成績を上げられない年金基金が続出したのです。

    中には解散に追い込まれる年金基金も出てきました。そこで、従業員が自力で資産形成ができるようにするために、確定拠出年金へのシフトが進んだといわれています。

    ベースとなったのはアメリカの「401k」

    確定拠出年金は「日本版401k」と呼ばれることがあります。名前の由来も説明しましょう。

    アメリカの法律(内国歳入法)に、所得税が繰り延べられる年金制度に関する条文があります。その条文の番号が401条k項であるため、要件を満たした年金制度を401kプランと呼ぶようになりました。ここから、日本の確定拠出年金についても、「日本版401k」と呼ばれるようになったといわれています。

    日本の現状

    それでは、日本における確定拠出年金の現状はどうなっているのでしょうか。

    実は、確定拠出年金自体は新しい制度でもありません。2001年10月から開始されているので、15年の歴史があります(2016年時点)。しかし、「自分で資産を形成する」という意識が強いアメリカの影響を受けた制度が、そのような意識の低い日本で普及するかという懸念はありました。

    事実、その懸念は、確定拠出年金という言葉の認知度にも現れています。有名シンクタンク・野村総合研究所が行った調査をもとに考えてみましょう。

    まず、「確定拠出年金という言葉を聞いたことがあるか」という調査ですが、世代別の結果は次のようになりました。

    年代 

    聞いたことがある(%) 

    聞いたことがない(%)

    全体 

    43 

    57

    24歳以下 

    17 

    83

    25~29歳 

    28 

    72

    30~34歳 

    36 

    64

    35~39歳 

    40 

    60

    40~44歳 

    43 

    57

    45~49歳 

    48 

    52

    50~54歳 

    51 

    49

    55~59歳 

    55 

    45

    全体としては半々、という印象ですが、若い世代での認知度が低いのが気になるところです。

    ここで、もう一つのデータを見てみましょう。同じく、資産運用の方法として最近注目を集めているNISA(少額投資非課税制度)と比べ、確定拠出年金はどれだけ認知されているかを調べてみました。

    年代 

    NISAを知っている(%) 

    確定拠出年金を知っている(%)

    全体 

    66 

    43

    24歳以下 

    47 

    17

    25~29歳 

    59 

    29

    30~34歳 

    66 

    36

    35~39歳 

    67 

    40

    40~44歳 

    69 

    43

    45~49歳 

    70 

    48

    50~54歳 

    67 

    51

    55~59歳 

    72 

    55

    NISAに比べると、やはり認知度は低いみたいです。

    後述する企業型に限って言えば、2015年7月末現在で、2万社以上の企業に導入されており、これからもどんどん活用が広まっていくでしょう。しかし、確定拠出年金は一部の人が活用できるものであった面は否めません。

    2017年改正

    先に述べた「一部の人が活用できるもの」という話について、もう少し掘り下げてみましょう。

    従来、確定拠出年金は企業年金制度を導入していない会社に勤めている人(国民年金第2号被保険者)か自営業・フリーランスの人(国民年金第1号被保険者)しか使えない制度でした。そこで、制度の普及を目指すために大幅な法改正が加わり、2017年からは加入対象者が広げられる予定になっています。

    これにより、企業年金制度を導入している会社に勤めている人、公務員、専業主婦(国民年金第3号被保険者)も、確定拠出年金に加入できるようになりました。つまり、「20歳以上60歳未満の国民年金保険加入者」なら、ほとんどすべての人が(個人型)確定拠出年金を利用できるようになるのです。

    確定拠出年金、企業型と個人型の違いとは?

    確定拠出年金をさらに細かく分けると、企業型と個人型に分かれます。何がどう違うのか、とても重要なので解説しましょう。

    基本的な性質を押さえよう

    最初に、基本的な性質の違いから解説します。

    拠出金

    まず、確定拠出年金口座への掛金を誰が出すか、という点です。

    個人型は加入者本人が出すのに対し、企業型は会社が出します。なお、企業型であっても、加入者本人も一部掛金を出すケース(マッチング拠出)もあるので、確認しましょう。

    掛金の税務上の取り扱い

    確定拠出年金口座に掛金を出した場合の税務上の扱いにも差があります。

    個人型は、掛金が全額所得控除の対象となるため、確定申告・年末調整により税金の還付が受けられるのが大きな特徴です。

    一方、企業型は、会社側が掛金を損金として処理するため、会社側が節税できるようになっています。

    表にしてまとめてみました

    基本的な性質の違いを押さえてもらったところで、さらに細かい違いについてみていきましょう。かなり細かいので覚える必要はありません。

      

    企業型

    個人型

    企業年金制度あり(※1)

    企業年金制度なし(※1)

    企業年金制度なし(※1)

    自営業者など

    対象者

    60歳未満の従業員等

    ※規約により、65歳まで加入できる場合あり。

    60歳未満の厚生年金被保険者

    60歳未満の第1号被保険者

    方法

    原則、全員加入

    ※規約で要件を定めた場合は規約に基づく

    加入は任意

    ※国民年金基金連合会に申し出を行う

    掛金の拠出者

    企業(事業主)※2

    加入者本人

    毎月の掛金拠出限度額

    27,500円

    55,000円

    23,000円

    68,000円

    納付方法

    企業が納付

    給料からの天引きまたは口座振替

    口座振替

    運営にかかる費用の負担

    規約の定めによって企業または加入者が負担する

    加入者本人が負担する

    給付方法

    規約に定められた受取方法の中から選択

    期間年金(5年以上20年以下)または一時金

    受給権の付与条件

    少なくとも勤続3年以上必要

    拠出時から受給権あり

    運営主体

    企業(事業主)

    国民年金基金連合会

    運営管理機関

    企業(事業主)が選定する

    加入者本人が選定できる

    資産管理機関

    企業(事業主)が選定する

    国民年金基金連合会

    (事務委託先金融機関)

    ※1 厚生年金基金、確定給付企業年金等を指す。

    ※2 会社が拠出する掛金に上乗せし、従業員が一部拠出するケースもあり(マッチング拠出)。

    確定拠出年金のメリット・デメリットは?

    それでは、確定拠出年金にはどんなメリットがあるのでしょうか?検討してみましょう。

    メリット

    最初に、メリットについて解説します。次の3点です。

    将来的に給付金が受け取れる

    一番大きいのは、将来給付金が受け取れることでしょう。次の3種類の給付金が受け取れます。

    老齢給付金

    原則として60歳から、年金または一時金として支給される。

    障害給付金

    高度障害時に、年金または一時金として支給される。

    死亡一時金

    死亡時に一時金として支給される。

    また、これらに加え、掛金の通算拠出機関が1か月以上3年以下や少額の場合で、転職などの理由により確定拠出年金制度が使えない時は、脱退一時金を受け取れる場合があります。

    税制優遇措置が受けられる

    確定拠出年金を使うと、税金の面でもとても有利です。特に、次の3点が大きな優遇措置として挙げられます。

    1. 個人型の場合、拠出した掛金については所得控除の対象となり、年末調整で還付が受けられます。また、企業型についても、マッチング拠出により本人が拠出した拠出金についてはこの規定が適用されるため、税金の上で有利です。
    2. 一般的に、金融商品の運用益には、税金がかかります(所得税15.315%、住民税5%)。一方、確定拠出年金の場合、口座を通じて運用した金融商品の運用益については、非課税となるため、運用益がそのまま受け取れます。
    3. 将来的に給付金を受け取る場合、公的年金等控除・退職所得等控除が受けられます

    信託報酬の安い金融商品が利用できる

    確定拠出年金においては、掛金を投資信託で運用するのが一般的です。

    投資信託とは、わかりやすく言えば証券会社等の金融機関に運用をお任せしてしまう仕組みですが、人任せにする以上、手数料を支払わなければいけません。これを信託報酬と言います。運用や管理等の対価として負担が求められる費用で、投資額に応じて負担が決まるのが特徴です。

    実は確定拠出年金の場合、信託報酬が安く抑えられた投資信託が利用できます。比べてみましょう。

    <一般向け投資信託>

    商品名 

    信託報酬およびその他の費用

    ダイワ米国リート・ファンド(毎月分配型) 

    1.6416%(税込)

    ダイワJ-REITオープン(毎月分配型) 

    0.7776%(税込)

    日本株アルファ・カルテット(毎月分配型) 

    1.107%(税込)

    <確定拠出年金向け投資信託>

    商品名 

    信託報酬およびその他の費用

    りそなDC 信託のチカラ
    日本の債券インデックスファンド 

    0.162%(税込)

    りそなDC 信託のチカラ
    日本の株式インデックスファンド 

    0.1944%(税込)

    DCダイワ 外国株式インデックス 

    0.27%(税込)

    かなり安く抑えられているのがお分かりいただけたでしょう。

    確定拠出年金は、長年にわたって金融商品を運用するのが前提である以上、ランニングコストは安いに越したことはありません。

    デメリット

    一方で、デメリットもあります。確定拠出年金口座に掛金を出した場合、原則として60歳になるまで引き出せません。そのため、途中で引き出して使うために資産運用を行う場合には、確定拠出年金は向いていません。

    途中で引き出して使うのが前提など、短期的な資産形成を目指す場合は、NISAなど他の手段も併用することを考えましょう。

    確定拠出年金の始め方

    確定拠出年金を始めるには、具体的にどうすればいいのでしょうか?基本的な流れをまとめました。

    ステップ1.金融機関を選ぶ

    最初に、金融機関を選びましょう。一番のポイントとなるのは、手数料です。なお、確定拠出年金の場合、次の手数料がかかります。

    金融機関を選ぶ際のポイントを解説。確定拠出年金の場合、次の手数料がかかる。

    (どの金融機関でも共通)

    手数料を払う先

    手数料の種類

    金額

    国民基金年金連合会

    新規加入時手数料

    2,777円(1回のみ)

    掛金収納手数料

    1,296円(年額)

    金融機関

    運用機関手数料

    (金融機関が独自に定める。)

    やはり、運用機関手数料がいくらかかるかがポイントになります。

    「この金融機関で確定拠出年金にチャレンジしてみよう」と思ったら、まずは金額をチェックしてください。給料の振込口座を持っている金融機関も選択肢に入れると、毎月の積立がスムーズになります。

    ステップ2.資料請求・申し込みをする

    金融機関が決まったら、早速申し込み手続きを始めましょう。その際、次の情報が必要になるので、

    すぐにわかるようにしておきましょう。

    1. 現在の被保険者種別
    2. 移管する年金資産の有無
    3. 個人情報・基礎年金番号・マイナンバー(個人番号)

    一部の金融機関では、Webページ上の所定のフォームに情報を入力していくと、自動的に申込書を作成してくれるサービスを行っています。インターネット環境があれば、いつでもどこでもできるので、金融機関の窓口に行く時間が取れない、という方はぜひ活用してください。

    もちろん、金融機関の窓口で、相談しながら申し込むこともできます。確認しながら確実に、という方にはこちらをおすすめします。

    ステップ3.書類に記名押印し、返送

    金融機関から送られてきた書類に必要事項を記入し、押印して返送しましょう。

    ステップ4.口座開設完了

    金融機関に書類が到着し、問題がなければ口座が開設されます。一般的には1か月程度かかるので、時間に余裕をもって手続きを行いましょう。

    ステップ5.年末調整・確定申告へ

    毎年11月上旬〜下旬に、国民年金基金連合会から小規模企業共済掛金払込証明書が届きます。これが1年間に確定拠出年金で払った掛け金の証明書です。年末調整や確定申告で利用する大切な書類なので無くさないようにしましょう。無くしてしまったら、すぐに再発行をお願いしてください。

    また、年末調整の場合、確定拠出年金で払った掛金の金額を書き込むのは小規模企業共済掛金等控除の部分です。書き間違えないようにしましょう。

    会社勤めをしている方は、年末調整終了後に会社から「源泉徴収票」を受け取ります。確定拠出年金の掛け金については「社会保険料等の金額」のところに記載されるので、こちらも併せて押さえておいてください。

    (文/菊地美亜)

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